お題 4.線
ETERNAL FLAME
夜汽車のガラス窓にそっと指を触れた。
触れるそばから熱を奪って、ガラスは白く曇っていく。
冷たい。
暗くて見えないけれど
いくつトンネルを越したことだろう。
夜明けはまだ遠い。
私、夢を見ているんじゃないよね?
これは現実だよね?
二人で東京に向かっているのも。
見合いの相手が春海だったことも。
そして
あなたがさっき言った言葉も。
小さな炎が燈されたような気がするの。
小さいけど暖かで、ずっと消えない炎が。
目を閉じると、それが見えるような気がする。
これさえあれば、どんな暗闇でも歩いていける、そんな気がする。
春海、あなたも同じように感じている?
出逢って別れて。
私たちいろんなことを乗り越えてきたよね。
そのたび少しずつ強くなってきたよね。
少しずつわかりあってきたよね。
その日一日をただ一生懸命に過ごしてきた。
先のことなどわからないと思っていた。
ガラスに映る私の顔を透かして
藍色の空が広がっている。
このままずっと列車に乗って
どこまでも行けたらいい。
私たちの行く先は東京よりもっと先にある。